守神様の想い人
サァラが再び目を覚ますと、外はすでに真っ暗だった。
雪はまだ降り続いているようで、窓からもれる灯りに照らされてチラチラ光るのが見てとれた。

広いベッドの隣にアミルの姿はなく、サァラは夜具から抜け出でアミルを探した。

アミルは隣の部屋の長椅子に腰かけて、小さくて古ぼけた本を読んでいた。

サァラが近づくと、本から目を外しサァラの方に振り向いて笑う。

『サァラ、起きたのかい?』

サァラは微笑みながらうなづいて、本をちらっと見た。

『お邪魔じゃない?』

『ちっとも。』

言いながら、自分の膝をポンポンと叩いて、サァラに手を伸ばした。

そして、サァラが近づくと腕をつかんで半強制的に膝の上に座らせる。

膝の上に座らされると、顔の位置が近くなって、少し落ち着かないのだが、そんなふりは見せずに、アミルが横に置いた本を見る。

『これ、私の故郷の本なんだよ。大好きな本なんだ。』

『アミルの故郷の………本?………見てもいい?』

『もちろん。』そう言って、アミルはサァラにその小さな本を持たせた。

膝に抱えられながら、まずは表紙を見てみる。

アミルが自分を膝に乗せていて重くはないか気にはなるけれど、昨日からの濃密な接触で、アミルが細身ではあるものの、サァラより随分と逞しいことはよくわかっていた。

『アミルの故郷ってどんなところ?』

話しながら、おもて表紙を開ける。

『んん………、そうだなー、ここみたいに季節というものがなくて………、ずっと真夏みたい。サァラも今度、一緒に行こう?』

少し驚いた顔でアミルを見たあと、サァラは『うん!』と言って頬笑む。

それから、またページをめくってみた。

しかし、やはり、次のページも真っ白だ。

首をかしげるサァラをおかしそうに見ているアミルは、自分もサァラに顔を近づけて本を覗き見た。

『フフ、サァラもよーく、見ててごらん。』

そして、二人で一緒に本の真っ白いページをじっと見た。

『あっ、えっ!?』

アミルを見ると、アミルも驚いたようにサァラを見た。

『サァラも見た?今の………。』

『アミルと私と………、子供がいた?』

アミルは両手でサァラを抱きしめ、しばらくそうした後で、余韻を惜しむようにそっと離れる。

『今見えたのは私たちのこれからだよ。二人同時に一つのページに未来を見ることはほとんどないんだけど………。』

『えっ?』

サァラが本を見ながら不思議そうに見る。

『この本はね、私が子供の時にもらったんだ。本を見る人の心を反映して、未来を見せてくれるんだよ。………もちろん、必ずしもそうなるというわけではないんだけどね。複数人で一つのページを見ても、それぞれの未来は違うから映さないんだ。同じ未来を共有するときだけを除いてね。』

サァラはキョトンとしながら聞いている。

その顔がなんとも可愛くて、アミルはもう一度サァラを抱きしめた。

『サァラ………、ずっと一緒にいようね。』

耳元で囁かれ、ぞくっとする甘い痺れに目を閉じながらサァラもアミルに囁く。

『アミル、ずっと側にいて。………愛してる。』

二人は見つめあってキスをした。

永遠に側にいることを誓い合いながら………。

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