御曹司を探してみたら

「杏ってば、まだそんな寝ぼけたこと言ってるの?」

わかっちはやれやれと呆れ顔で首を左右に振ると、ズビシと私に向かって人差し指を突きつけた。

「今や武久といえば、結婚したい男性社員ナンバーワンなのよ。あんたと代わって欲しいって女性社員の待機列は最後尾が見えないくらいよ?」

「はあ!?冗談でしょ!?」

わかっちの言い分に関して否定はしないけれど、つい懐疑的になってしまう。

私の知らない間にそんなことになってたの!?

「周防の御曹司だということは差し引いたって、武久って口は悪いけど面倒見いいし、真面目じゃん。見てくれだって悪くないしさ?」

「はあ……」

わかっちが武久をそんなに高評価していたなんて思わなかったよ。

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