御曹司を探してみたら
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「武久と一緒に暮らしてる!?」
「声が大きいよ!!わかっち!!」
ランチタイムも終わりに近づきテラスには他の人間がいないとはいえ、もう少し声のボリュームを押さえて欲しい。
それと!!ひとの話は最後まで聞いて!!
私はわかっちの耳を引っ張ると、かくかくしかじかと連日の騒動の顛末を最後まで説明したのである。
「おめでとう!!福子夫人に認められて良かったわね!!」
すべて話し終えるとわかっちはわざとらしく目元をハンカチで押えて感動を演出し始めた。
「からかわないでよ、わかっち!!こっちはすっごく大変だったんだから!?」
あの後、元いたアパートに行ったら本当にもぬけの殻になっているし。
契約が解除されていなかったのはよしとしても、大家のおばあちゃんには満面の笑みで“結婚するんだって?良かったねえ!!”って泣かれるし。
寝起きするのに書斎を貸してもらえたのはラッキーだったけど、慣れない共同生活で耳にタコができるくらい武久の小言を聞かされる羽目に。
洗剤は補充しとけ、トイレットペーパーはシングルだ、皿洗いが雑だの……小姑か!!
不幸中の幸いといえば、しつこかった監視役がいなくなったことくらいか?