御曹司を探してみたら
「で、私達上手く行くと思う?」
「お前はなぜそれをわざわざ俺に確認する……?」
武久は注文した大盛り牛丼が手元に届くと紅ショウガを乗せ、箸立てから箸を抜き取った。
「ほら、男同士の方が何かと気づくこともあるかなって思って?」
そのために就業時間が終わりさっさと帰ろうとしていた武久の首根っこを掴んで駅前の牛丼屋に駆け込んだのだ。
なけなしの野口様をはたいて牛丼奢ってんだから、良いアドバイスをもらえなければ困る。
今度こそ失敗するわけにはいかない。
私の人生が掛かっているんだから!!
「ねえねえ!?どう思う?」
隣に並ぶ武久に尋ねながら、ご飯を口に運ぶ。
カウンター席に座って牛丼を食べている姿は田辺さんにはとても見せられないだろう。
武久は味噌汁をずずずと啜ると、お椀をトンとカウンターに置いた。
「あいつはやめとけ」
「えーーー!?何で!?」
「いいから、やめとけ。早宮の手に負える相手じゃない」
「ちょっとその言い方なによ!!」
忠告じみた物言いに不快感を隠せなくなり、拳を握りしめカウンターに叩いてしまった。
もしや、私に先に彼氏が出来るとあって悔しいのか?
飲み友達がいなくなったら寂しいもんね?
あ、分かった!!