御曹司を探してみたら
「もしかして田辺さんがカッコイイ人だからって僻んでるの?」
やだやだ。男の嫉妬ってやつ?
武久だって若手の中じゃなかなか有能だけど、田辺さんには経験も実績も敵わないもんね。
そんな素敵な人が私の彼氏になっちゃったら悔しいのよね。
うんうんと納得したように頷いていると、武久が片眉を上げ睨みつけてきた。
「はあ?僻んでねーよ!!」
「負け惜しみは見苦しいわよっ!!」
温玉は最後に残して食べる派の武久くんが大事にとっておいた、温玉を自分の器に盛りつける。
「ってめえ!!俺の温玉勝手に食うなよ!!」
「うるさい!!奢ったのにろくな情報をくれない武久が悪いんだから!!」
温玉を奪われたことにカチンときたのか武久の悪態は更に続いた。
「っつーかさ。お前とあいつって何の接点もなかったじゃん。なんで突然一緒に食事に行くことになってんだよ?大体、御曹司探しはどうなったんだ?」
「べ、別にいいでしょ!?それはそれ!!これはこれよ!!」
あっぶなー!!
武久のやつってば、妙に鋭いんだから。
田辺さんと約束したから“田辺さん=周防の御曹司”ってことは誰にも言えない。
いくら武久でもそこは内緒にしておかなくては。
その代わりあとでびっくりさせてやろうっと!!