エキストラヒロイン





人通りの少なくなった放課後。


あたしは精一杯気持ちを込めたラブレターを大切に手の中で包み、来栖くんの靴箱の前で足を止めた。


はぁ…、どきどきする。

きっと来栖くんなら読んでくれる。
そうしたらあたしの存在は頭の片隅だけでも残るはずだし、意識だってしてくれちゃったり。


にやつきながら来栖くんの靴箱を開ける。

すると、バサバサッ、と足元に雪崩が降ってきた。



「………うわぁ」



思わず出てしまった声。

それもそのはず、ラブレターと思わしき手紙が小さな靴箱に敷き詰められていたのだから。


しかもタイミングよく、あたしの番でこの大惨事。


大きく溜息をついて、ばら撒いてしまったラブレターを集める。

面倒くさいことはしたくないのにな、なんて座り込んでぼやきながら全部拾い集め終わり、それをもう一度元の場所に戻してあげようと立ち上がった。



「…………」


「…………」



今日は厄日だ。


こんなところを、来栖くんに見られてしまった。




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