エキストラヒロイン



呆れたか!呆れ果てたか!

もうあたしと話すのもしんどいって感じてくるだろうから、その流れで「わかった」って言ってしまえ!


そしてあたしで妥協しろ!



「お願いだから付き合って!」


「あーもう、うるさい。

…わかったから。離せ」



山田、来栖くんから言質をとりました!



「ほんと!?」


「ああ」


「付き合う!?」


「………そう言ってんだろ」


「やったぁあ!!」



両手でばんざいをしたときに、シャツのボタンを外したまま谷間が丸見えだったことに気付き、慌てて止めた。


でもこれで晴れて来栖くんの彼女!
二重人格で難ありの腹黒王子のヒロインになれたんだ!エキストラからヒロインに昇格だ!




「お前、本当にバカだな」


「へ?」


「あんなの嘘に決まってんだろ」


「……………」



嘘?



「…っと、残念。同じ手には引っ掛からないよ」



すかさず来栖くんにへばりついて、さっきの戦略で陥れようと試みたが、その手首を掴まれ、机の上に押さえ込まれてしまった。


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