エキストラヒロイン
まるで犯罪者になった気分…、じゃない!
痛い!痛いよ来栖くん!
「ぎ、ギブッ…ギブギブ!!」
「良い眺めじゃん」
「これは女の子にすることじゃないよ!?」
「人外なんだろ」
「くうっ…」
来栖くんの気が済んだらしく、やっとあたしを痛みから開放してくれた。
左腕がじんじんする…!
「ゴリラと付き合う趣味はないけど、俺も優しくないわけじゃない」
「優しさの欠片も感じないけど…」
「なんか言ったか?」
「ナニモ」
さっき痛い痛いと泣きそうになってたあたしを押さえつけながら、楽しそうにしていらっしゃいましたけど、それも優しさだと受け取ればいいのか。
いや、無理だ。
「お前が俺を好きにさせることができたら、付き合ってやる」
「………それって、普通に両想いじゃないの?」
「俺がお前を好きになると思うか?」
「そこそこ!」
「…お前のどこにその自信が持てんの?」
「だってあたしはヒロインだから!」
物語の中で決まった配役が変わることなんてないんだから。