朝はココアを、夜にはミルクティーを


更衣室で私服に着替えて、ぞろぞろと出ていくみんなに「お疲れ様でした」と言葉を返す。
渡された着ぐるみの収納に困り、ロッカーに入らないと気づいた私はそれらを抱えて亘理さんのいるであろう事務所へ向かった。

ノックをしてから入ると、彼もちょうど帰るところだった。

「亘理さん、帰るところすみません。着ぐるみをこの部屋に置いててもいいですか?」

「あ、はい。もちろんです。どうぞ」

着ぐるみは、両腕で抱えてやっと持ち上がるくらいの重さだ。
けっこうな重量なので明日から若干不安がある。
こんなことなら体力をつけておけばよかった。

「大丈夫ですか?」

ヨタヨタしている私のそばに近づいた亘理さんが、ひょいと片手で着ぐるみを抱えるとそのまま机に置いてくれた。

この、何気ない力の差とかがけっこう胸に響くってことを男の人は知らないだろう。


「ありがとうございます。また明日の朝に取りに来ます」

「分かりました。……あ、白石さん」

事務所を出ていこうとした私を、彼が呼び止める。

「もし良かったら、今日は俺の車で帰りませんか?どうせ三日間は俺たち通しで出勤ですから、その方が楽でしょう」

「……はい」


何度か乗ったことのある亘理さんの車は、いつも片づいていた。
今日もまた、暗くても分かる綺麗な車内に乗り込んだ。

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