記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
これまで、雪乃をそんな目で見てきた男はいない。
自然とさっきとは違うシチュエーションに、雪乃から唇を寄せた。
でも初心者の雪乃には、どうしたらいいのか分からず軽く触れ合わせることしかできないでいるとーー。
不意に、これまで自分が執筆してきた物語が頭に過ぎった。
今後の為にも、その数々を試してみるべきじゃないだろうか。
手始めに、朔の閉じている唇の割れ目を舌でちろりっ、と舐めた。
すると、腰を掴む朔の手に力が入った。
引きはがされないということと、次第に開きはじめた唇に嫌ではないのだと理解して、今度は彼の下唇を歯で挟むと、熱い吐息が漏れる。
それに気をよくした雪乃は、開いた唇に舌を差し入れ、朔の舌を探り当てた。
動かすように促し、ねっとりと絡め合う内にTシャツの下に朔の手が滑り込んできて、腰から肋骨の辺りを撫でられる。
微かにざらつく熱くて大きな手がもたらす肌への刺激に、雪乃は朔の肩を掴む手に力を入れた。
肌がぞくぞくして、足の間の奥が疼く。
少し唇を離すと、これまで発したことのない喘ぎが漏れそうで、キスを止めることができない。
余裕すらない雪乃と違い、落ち着いた様子の朔は彼女の腰を掴むと後ろに体を倒してソファーの背に寄り掛かった。
「んっ……」
変わった姿勢に、雪乃は微妙に前のめりになってしまい自ずと朔に胸を密着させるような姿勢にならなければバランスが取れない。
結果、胸板に両手を着く形になり、朔は自由に雪乃の背中を撫で回しやすくなった。
腰から肋骨へ、肋骨から背中のラインへと滑らかに動かされた手の向かう先はーー。
そこで、ぼんやりとしている思考に危険信号が忍び込む。