記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「……できない」
「え?」
「だって、私だって朔のことが好きなんだから……昔から、ずっと欲しかったんだからっ」
思いきって口にした言葉は、ここま追い込まれなければ口にはできない雪乃の思いだった。
恥ずかしくて枕の上で顔を横に向けて、煩い心臓の音と熱い頬の熱が治まるのを待とうと思っていたのに、ベッドのスプリングがギシッと音を立てると共に、顎を掴まれて顔を振り向かされる。
何か言葉を発するよりも速く、開いたままの唇が重なり舌が口腔を蹂躙した。
お互いの呼吸まで奪おうとする激しい口づけに、いつしか雪乃も積極的に応じはじめる。
恥ずかしさも躊躇いも、朔の全てが欲しい、知りたいという欲求の前に溶けてなくなっていた。
雪乃は両腕を首に回し、朔は彼女の膝の後ろを掴むと自らの腰に絡ませ、体を起こした。
自然と胡座をかいた朔の足の上に座る形になったが、熱に浮されそんなことも気にならない。
ようやく唇が離れ、銀糸が互いを繋いだ。
「脱がしていいか?」
長いキスで色づいた唇を親指でなぞりながら問われ、雪乃はゆっくりと頷いた。
それを合図に、朔の手が裾を掴んで上へと引き上げ、途中で黒いスポーツブラが覗き、自分の女らしくない下着に溶けて消えていた羞恥心が浮上してくる。
「め、目つぶってて、自分で脱ぐから」
言い終わってから大胆なことを言ってしまったなと後悔した雪乃だったが、色気のない下着を朔に脱がされるくらいなら自分で脱いだ方がましだ。
いつもの彼なら、そんな雪乃の思いを汲み取って目を閉じてくれると思っていたのに、今日の朔は違った。
「ダメ。俺の楽しみ取らないでくれる? これまで、どれくらいこの時を待ってたと思う?」
抵抗も虚しくTシャツが脱がされ、ベッドの下に放り投げられた。