記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「うそっ……だって、これまで彼女だっていたじゃない」
泣きたいのをどうにか堪えて絞り出せば、胸元から顔を上げた朔が強い目を向けてきたかと思うと、体はベッドに沈んでいた。
「だったらさ。ヒナは、俺の気持ちを考えたことある? ヒナが作家になったって恵理子さんに本を送ってもらった時の気持ちを」
体を起こした朔は膝立ちでパーカーを脱ぐと、下に着ているTシャツの裾を掴んで勢いよく脱ぎ捨てた。
「本の中のセックス描写を読むたびに、ヒナはどれだけの男と付き合って、寝てきたんだろうと思ったら嫉妬で狂いそうだった」
眉間にシワを寄せる朔に、雪乃は言いたかった。
これまで交際した相手はいないし、ヴァージンだと。
あの日、ホテルでのことが本当なら、初めての相手は朔なんだと叫びたかったが、今さら何も言えなかった。
愛想を尽かされる。そう覚悟してると、突然ーー朔は微笑んだ。
「でも、もういいんだ。忘れてあげる」
「な、なんで?」
ころころと変わる朔の様子についていけず問い掛ければ、彼の手が雪乃の柔らかな部屋着のズボンにかかった。