記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
疲れを忘れ、腰に掛けられていた上掛けを引き寄せて体を起こしソファーに座り、左手に目をやるとーー薬指には精巧な作りのシルバーリングがはまっていた。
華奢な一粒ダイヤの指輪とかではなく、そこで堂々と主張していたのはオオカミが月に向かって遠吠えする姿だ。
「えっ?」
「シルバーアクセサリーを作る奴が知り合いにいるんだけど、そいつに作ってもらったんだよ。なかなか、海外でもオオカミのモチーフのアクセサリーはなくてね。幻想的なオオカミの家族が描かれた宝石箱に入れてほしいな」
その瞬間、雪乃はぱっと指輪から視線を反らして、朔に目を向けた。
「どうして、知ってるの?」
オオカミの宝石箱は、母の友人がお土産として頼んだ物だ。
誰にも見せたことがないし、部屋の見える場所に置いてある訳でもない。
知っているとしたらーー。