記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「ヒナ? いま答えを出さなくたっていいんだ。ゆっくりと考えてくれても、俺の気持ちはいつまでも変わらないから」
これまでとは違う自信のなさそうな表情の朔に、思わず微笑みが漏れた。
「喜んで……あなたとずっと一緒にいたい」
不安そうな表情が、曇り空から太陽が覗くように一気に晴れやかな顔になり、ぱっと膝立ちになると両手を伸ばして雪乃の頬を包み込んだ。
鼻先が擦り合うほど顔を近づけると、唇に囁いた。
「ありがとう……これまで感じたことがないくらい幸せだよ。絶対に後悔させないから……幸せにするから」
決意を込めたような言葉に、雪乃は片手を上げて頬を包む手に重ねた。
「違うでしょ。幸せにしてもらっても嬉しくない。二人で幸せを掴むのよ」
口にした言葉は、熱く重ねられたキスによって受け止められた。
朔の職業や周りの環境を考えたら、この先に待っているのは楽な道は存在しないだろう。
それでも、彼のことは心の底から信じている雪乃は、今はただ朔のキスを受け入れた。

