記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!





 ざわめきは、徐々に雪乃たちの方へと近づいて来る。

 女性陣の感嘆のため息と男性陣のどよめき。

 対照的な反応に、雪乃も気になりスツールを回転させて後ろを振り返り、真っ直ぐこちらにやって来る男の姿に目を見開いた。


「な、なんでアンタが」


 わななきながら口にした言葉に、当の本人はニッコリと微笑んだ。

 朝、なかったことにしたのに、人生とはそううまくいかないらしい。男のにこやかな姿とは反対に、雪乃はひたすら青ざめるしか出来なかった。



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