記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
【連絡遅くなってごめん! エイデンからソフィアが熱出したって連絡きたから、早めの便に変えて帰るね。せっかく見送りにきてくれようとしたのにホントごめん。腹立つけど、朔にも言っておいて。あと、こんなこと言うことになるとは思わなかったけど、朔と少し話して距離を縮めることも雪乃も考えてみたら? 彼の気持ちは本気みたいだし】
『香穂さん……まさに今、距離を縮めてる最中ですよ』
心の中で呟きながら、その部分に触れないようなメールを返してスマートフォンを鞄にしまい、雪乃も食事を再開したが、正面に座り静かに綺麗な所作で食事を進める朔が気になって、上手く食事が飲み込めない。
胸の奥底では、忘れられずにいた初恋が疼き出していた。