ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
ジーンとした感覚が右の頬に残る。





そして目の前に怒りに満ちた表情のまま俺を睨み付る姿。





『こんな人だと思わなかった』




吐き捨てるように言って屋上から出ていった。





「ほんとうに……ごめん……」





言えなかった言葉を口に出して殴られた頬をさすった。




少し熱を持っていてようやく痛いと感じてくる。





きっとこれが加藤さんの心の痛みなんだ。








そう思ったらこれくらいたいしたことないって不思議と思えた。












冷静になって、給湯棟の影に隠れる企画部のあの人が気になった。





その方向を見ると、隠れているのか姿は見えない。





見えないんだけど、覗かれてた事


今のやり取りも聞かれてた事


そして殴られた事




それらを面白いと思われてるかもしれないって考えると腹がたってきてた。




完全な八つ当たり。





わかってるくせにやりきれない気持ちを何かにぶつけたくて、足は給湯棟の日陰を目指して自らの意思で進んでく。



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