ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
忘れなくてもいいって?



由宇さんの事諦めなくてもいいのか?




『いつ会えるかなんて保証は出来ないけど…
叶うんでしょう?そのしおりを持ってたら。』





優しく笑いながら続ける。




『叶う前にもしかしたら思い出にできるかもしれない、もっと大切な人が現れるかもしれない…

無理して忘れようとするよりは、いつか会えるって希望を持って過ごしていった方が今よりよっぽど前向きだと思わない?』




会えるかもしれないって希望を持ってーー




姉貴の言葉がスーっと全身に染み込んでく。




俺、まだ諦めたくない。




忘れなくてもいいなら、まだ由宇さんを想っていたい。




「ーッ。」




強くそう思った時、目頭が熱くなってジワリと涙が滲む。




椅子から立ち上がって俺の頭を軽く叩いて姉貴はドアへと向かう。




『今年から心機一転ね!自分を安売りすることしちゃダメよ?辛くなったら話聞いてあげてるから。』




扉を開いて出てく寸前にそう言ってくれた姉貴に、言葉にして言えなかったけど、心の中でありがとうと呟いた。




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