零度の華 Ⅱ


『零(ゼロ)は普通の人間。あたしや鷹見と何ら変わらない人間(ヒト)なんだ』


「俺や雨月と同じ人だと?どこが同じなんだ。それに、俺とお前のどこが同じだと言うんだ?犯罪者と同じなんて言われたくないな」


『まさか、自分は心の綺麗な持ち主だなんて言わないだろうな?人間は穢れを持って生きる。簡単に嘘を吐き、簡単に偽善者振る。あたしや鷹見も人を欺いて生きている。犯罪者?警察?悪?正義?そんなものはただの形に過ぎない。零(ゼロ)もただの人間なんだよ』


「何人もの生命(いのち)を奪っている奴をよく、ただの人間だなんて言えるな。お前も狂っている。確かに、俺は綺麗な心を持っているわけじゃないし、人間は穢れているというお前の考えは否定しない。だが、零(ゼロ)は違う。アイツをただの人間だというのなら、俺達は神に成り得ることができる」







自分で神に成り得ると言えるほど、お前達とあたしの何が違う




人を殺せば人の道から外れるからか?

だから、罪を犯した零(ゼロ)は人ではないと?


だが、前にも言ったようにあたしも人から生まれた人間で、人の手で育てられてきたんだ


ただ教わったものが違った、ただそれだけのことに過ぎない





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