零度の華 Ⅱ


「はっ?何言ってんだよ。凶悪犯を見逃せって言うのか?被害が拡大するだけだろうが」



怒りを見せて噛みつくように言ってくる

あたしは冷静に答える




『今までの捜査で手掛かりを掴んで追い詰めたことがあるのか?零(ゼロ)の犯罪を、一度でも止めたことがあるのかよ』


悔しいと言わんばかりの表情を見せる仙道


被害が拡大すると言うが、もう既に被害は拡大しているんだ



それに警察側が掴んだ手掛かりなんてない

全てが零(ゼロ)によって与えられた手掛かりでしかない


それであたしを逮捕できるわけないだろうに



言わなくても、そこのところは分かっているみたいだから言う必要はないな



『そこであたしからの提案だ』


「提案だと?」


『零(ゼロ)のことを一旦忘れろ』


「はっ?お前、さっきから何を言ってやがる?零(ゼロ)に味方しているのか?」


『零(ゼロ)がいないのはつまらないな』


「おい!!!」


『最後まで聞け』

< 240 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop