零度の華 Ⅱ
「はっ?何言ってんだよ。凶悪犯を見逃せって言うのか?被害が拡大するだけだろうが」
怒りを見せて噛みつくように言ってくる
あたしは冷静に答える
『今までの捜査で手掛かりを掴んで追い詰めたことがあるのか?零(ゼロ)の犯罪を、一度でも止めたことがあるのかよ』
悔しいと言わんばかりの表情を見せる仙道
被害が拡大すると言うが、もう既に被害は拡大しているんだ
それに警察側が掴んだ手掛かりなんてない
全てが零(ゼロ)によって与えられた手掛かりでしかない
それであたしを逮捕できるわけないだろうに
言わなくても、そこのところは分かっているみたいだから言う必要はないな
『そこであたしからの提案だ』
「提案だと?」
『零(ゼロ)のことを一旦忘れろ』
「はっ?お前、さっきから何を言ってやがる?零(ゼロ)に味方しているのか?」
『零(ゼロ)がいないのはつまらないな』
「おい!!!」
『最後まで聞け』