零度の華 Ⅱ



『弥生』




名を呼べばピクリと鼠(マウス)の体は反応するが、進めた足は止まらない


あたしは気にすることなく、言葉を続けた




『お前が俺の事を嫌いなことは知っている。だからこそ、頼むんだ』


「......は?」




話すには距離があるところで、鼠(マウス)は理解できないといった顔であたしの方へと振り返った




「嫌われているから頼むなんて、お前はバカか?自らを危険にさらして何が楽しい?」


『......俺は俺を殺せる奴を探している。殺してみないか?』




あたしの言葉にまたもや理解に苦しんでいるのにも関わらず、ハッキリと話す



「僕がそんな言葉で踊らされると思ってんのか?お前の口車に乗るかよ。それに質問の答えになってねーだろ」


『答えている。理解が出来ないのならそれでいい。俺はお前なら、俺を殺してくれると思っている』


「死に場所なら他にいくらでもあるだろうが」


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