零度の華 Ⅱ



「ただいま」


あたしはその場に立ち上がると、グワンと頭が回りふらつく

とっさにテーブルに手を付き、もう片方の手である左手を額に当てる


亜紀はそんなあたしの姿を見るも声をかけることもなければ、手を差し伸べるわけでもない



自業自得だと思っているのか、手を貸す気がないのか分からないないが、亜紀の行動は正しい

心配と言う言葉は必要ないから


これで心配されるようじゃ、あたしもまだまだだということ

いくら怪我をしていても最後までやり通す


あたしはテーブルについていた手を離し、赤ん坊まで歩み寄る



そして、抱き寄せ泣き止ませようとしたところに橘ヒロが驚きの目を向けてあたしと亜紀を見た後、床で永眠している沙也加に気づき抱きかかえる



「おい、沙也加...沙也加!!」


涙の跡を残して死んでいる沙也加が返事をするはずもないのに、名前を呼ぶ橘


肩を震わせた橘はそっと沙也加を寝かすと立ち上がり、強くあたしを睨むその目には怒りしかない

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