零度の華 Ⅱ
あたしは気にせず目を閉じた
止血をしているが、傷の痛みは消えぬもの
思った以上に深かった
ドクッ、ドクッと手が脈を打ち、血がタオルに染みていくのが感じられる
今更、自らの手に刀を刺したことを後悔した
目を開き、タオルを強く締めるために結び目の端を歯で、もうひとつを片方の手で持ち、思いっきり引っ張る
痛みで顔が歪む
「痛むのですか?」
『まぁな』
「わざわざ自分の手を傷つけるなんて、無駄なことをするとは思いませんでしたよ」
『うるせーな。いいハンデになるだろ』
亜紀はあたしの言葉に何も言わず、それっきり会話がなされることはなかった
沙也加の家で待つこと2時間が経過をする
2時間もの間、あたし達は会話をすることなくただ座ったまま過ごす
赤ん坊もスヤスヤと眠りについている
あたしはというと少しずつ意識が朦朧としてきていた
でも、1つ安心したのは警察は来ないということだ
2時間もここにいるのに訪ねて来る人が1人もいやしない
あたし達は運を味方につけたということになる
あたしは安堵の息を吐く
その時、ガチャリと玄関が音を立てた
それと同時に赤ん坊が泣きだした