零度の華 Ⅱ


あたしは気にせず目を閉じた


止血をしているが、傷の痛みは消えぬもの

思った以上に深かった


ドクッ、ドクッと手が脈を打ち、血がタオルに染みていくのが感じられる


今更、自らの手に刀を刺したことを後悔した


目を開き、タオルを強く締めるために結び目の端を歯で、もうひとつを片方の手で持ち、思いっきり引っ張る

痛みで顔が歪む



「痛むのですか?」


『まぁな』


「わざわざ自分の手を傷つけるなんて、無駄なことをするとは思いませんでしたよ」


『うるせーな。いいハンデになるだろ』



亜紀はあたしの言葉に何も言わず、それっきり会話がなされることはなかった





沙也加の家で待つこと2時間が経過をする

2時間もの間、あたし達は会話をすることなくただ座ったまま過ごす


赤ん坊もスヤスヤと眠りについている

あたしはというと少しずつ意識が朦朧としてきていた


でも、1つ安心したのは警察は来ないということだ

2時間もここにいるのに訪ねて来る人が1人もいやしない



あたし達は運を味方につけたということになる

あたしは安堵の息を吐く





その時、ガチャリと玄関が音を立てた

それと同時に赤ん坊が泣きだした



< 346 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop