零度の華 Ⅱ





『お前、着いて来るつもりか?』


「行きませんよ。巻き込まれたくありませんし、警察に捕まりたくもないです」


『それがいいだろうな』



亜紀は何かしら薄々と感じ取っているのだろう

今回、何かが起こり、大きく変化することを


あたしがドアの取っ手に手をかけると同時の事だった



「行ってらっしゃい、狼」



名を呼ばれ振り返ると亜紀の笑顔があった

その亜紀の笑顔にどんな意味が含まれているのかは、分からない


『行ってきます』



あたしは無表情のまま返すと家を出た





目的地へと着くとプログレスが現れるのをただただ待つ


辺りが真っ暗闇の中に1つの淡いオレンジ色の街灯の光があたしを照らしては影を作っている


コンクリ―トとぶつかる水の音だけが響く




そして待つこと30分

こちらへと歩く足音が聞こえて来たので、手に持っていた山犬の面を付けた


あたしとの距離を保ち足を止めたソイツの方へと振り返る



対面するなり、あたしが面を被っていることに嫌な顔をするプログレス


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