零度の華 Ⅱ



「お前が零(ゼロ)か」


『あぁ』



緊迫した空気が海から流れてくる風に乗せて、体へと直接当たって来る



「そのふざけた面を外せ」


『お前に命令される筋合いはない』


「黙れ人殺し。お前に権限なんてないんだよ」



怒り、そして憎しみが体からオーラとして出ている




『顔を見ずとも、あたしの顔は覚えているだろ?この前、しっかりと見ていたんだからな』


「やっぱり、お前だったのか。雨月羽空」




"やっぱり"ということは鷹見と同じく、あたしを零(ゼロ)だと疑っていたのか

いつからあたしを疑うようになったのかは知らないが、初めて会った日はそんなことは考えていなかったはずだ


こんな奴が零(ゼロ)?と思ってたんだろう

あたしもコイツがプログレスなのか?と思ったからな




『雨月羽空は偽名だ。本当の名は狼(ロウ)。オオカミと書いてロウと読む。しっかりと考えてくれよ、プログレス。いや、遠藤秀‐スグル‐』



遠藤は名前を呼ばれると身構えた

< 404 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop