零度の華 Ⅱ
「お前が零(ゼロ)か」
『あぁ』
緊迫した空気が海から流れてくる風に乗せて、体へと直接当たって来る
「そのふざけた面を外せ」
『お前に命令される筋合いはない』
「黙れ人殺し。お前に権限なんてないんだよ」
怒り、そして憎しみが体からオーラとして出ている
『顔を見ずとも、あたしの顔は覚えているだろ?この前、しっかりと見ていたんだからな』
「やっぱり、お前だったのか。雨月羽空」
"やっぱり"ということは鷹見と同じく、あたしを零(ゼロ)だと疑っていたのか
いつからあたしを疑うようになったのかは知らないが、初めて会った日はそんなことは考えていなかったはずだ
こんな奴が零(ゼロ)?と思ってたんだろう
あたしもコイツがプログレスなのか?と思ったからな
『雨月羽空は偽名だ。本当の名は狼(ロウ)。オオカミと書いてロウと読む。しっかりと考えてくれよ、プログレス。いや、遠藤秀‐スグル‐』
遠藤は名前を呼ばれると身構えた