彼女が消えるその瞬間まで
「はーい。席について。文化祭が近づいてきている。とりあえず実行委員を決める。男女各1名ずつだ!一応立候補をとるが、それで決まらなかったら推薦してもらう」
誰かいないかーと叫ぶ先生。
実行委員なんて訊かなくても誰がするか検討はついている。
「先生、私やりたい!」
長い髪を揺らして、彼女が天井に手を伸ばす。
ほら、想定内だ。
彼女なら必ずそうすると思った。だって、彼女は俺とは違うから。
俺が似合わない役職や、やりたくないことは、決まって彼女に似合うことだ。
それは多分、彼女がみんなの前に立ち、導けることが出来る人間なのだから。