直感的結婚~恋はこれから~
「すみません。完成まで頑張りますので、それまで待ってください」

「つまり途中経過を俺に見せられないと?」

「はい、ごめんなさい」

「ふうん。分かった、楽しみにしておくよ」


見せてもらえないことに一瞬不機嫌な顔をしたが、すぐに口元を緩めた。完成までと自分で言ったが、楽しみにされるとハードルが上がり、不安になってしまう。

たかが報告書、されど報告書だ。堂々と見せられるものに仕上げよう。

この日は料理の部分だけを仕上げ、他の時間はいつものように雑務を行った。

あと数分で定時となる。でもいつものことだが、誰も帰ろうとしていない。一人だけ先に帰るのは毎回気が引ける。

だからといって、残ると必ず誰かが「帰っていいよ」と声を掛けてくれる。気にかけてもらうのも申し訳ないから……とりあえず帰ろう。


「山川さん、終業間際で悪いんだけど、これ10部コピーしてもらえる?」

「はい」


コピーを頼んできたのは泰士さんだった。彼から渡された資料は量が多く、途中で追加されたものもあって意外に時間がかかった。
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