直感的結婚~恋はこれから~
焦っていて、今言ったことが思い出せない。どんな失言をしてしまった?

またしても額に汗が滲み出てくる。そんな私に今度は困ったように笑う。


「ごめんなさいね。つい笑ってしまって。泰士に紹介された時の美琴ちゃんはあまり喋らなかったし、本当に結婚する意思があるのかと心配になっていたけど、いらない心配だったみたいね」

「え? それはどういった意味でしょうか」

「今、主人の相手は泰士がするから大丈夫だと言ったじゃない?」


確かに言った。だけど、それがどう結び付くのか分からない。

取り皿を渡された私は動けずにいた。


もうほとんどの料理が出来上がっていて、私が手伝えることは運ぶことしかないが、それを止めてしまう。


「二人が夫婦らしくなっていて嬉しいわ。泰士が無理矢理結婚すると決めたんじゃないかとお父さんも心配していたのよ」


お母さんは安心したように話しているけど、私はまた嫌な汗が出てきていた。

お父さんの見解は間違っていない。私たちの結婚は泰士さんが無理矢理決めたものだから。

でも、安心したという人たちに本当のことは言えない。
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