直感的結婚~恋はこれから~
私はさっさと泰士さんが指差さなかった方の布団に腰を下ろした。

余計なことは考えないで、さっさと寝てしまおう。


「美琴、待って」


枕に頭を付けようとしている時に呼ばれ、不自然な格好で後ろに顔を向ける。ちょっと苦しい体制だ。


「すぐに背中を向けなくてもよくない? 寂しいんだけど」

「寂しい……ですか?」


意外な言葉に私は体を起こして、泰士さんへと向き直した。

寂しいとはどういう意味で?

家にはお父さんもお母さんもいるし、先程まで和気藹々と話してもいた。

泰士さんよりも私の方が寂しく感じたと思うのに。

実家にいる父と母を思い出した。急なことで結婚式に来れなかった両親に会いたいし、ちゃんと話がしたい。

いつでも顔が見える距離にいる泰士さんが羨ましくなった。


「背中を向けられると拒否されているみたいで、寂しいんだよ」

「拒否……ですか? 拒否なんて別にしていませんよ?」


それもまた意外な言葉だ。

拒否しているつもりはない。警戒はしているが。
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