キミを奪いたい



「…………え?」



一瞬、理解出来なかった。



“あーちゃん、付き合ってるって噂、ほんとにしない?”



すぐに頭の中で反芻させて、その言葉の意味を考える。



「噂を、ほんとにする……?それって……」



そういうこと、だよね……?



「うん。俺と、付き合わない?」

「っ、」



言葉よりも、夕陽に照らされたなっちゃんの笑顔に胸が高鳴った。


鮮やかなオレンジ色がなっちゃんの穏やか笑顔を際立たせていて。


綺麗だなって思った。



「あーちゃん?」

「あ、ご、ごめんね」



言われた言葉なんか忘れてしまうほどその笑顔に見惚れてしまっていたことに気付いて、カァと顔が火照る。



男の子に綺麗だなんて、変だよね。



赤面した顔を見られたくなくて、なっちゃんから視線を逸らす。そして、熱くなった顔を手でパタパタと小さく仰いだ。



「こっちこそごめんね、突然こんなこと言って」

「ううん!びっくりした、けど……」



どうしよう。なんて言っていいのか分からない。

だって、本当に突然で……

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