嘘は輝(ひかり)への道しるべ
ヒカリの写真集の発売日だ。
ヒカリが初めて報道陣の前に立つとあって、思ったより多くの人が集まっていた。
司会者の案内にヒカリが皆の前に立つと、カメラのフラッシュが光った
社長の杏子マネージャーの原田、美香と祐介も愛輝を影から見守っていた。
愛輝は、報道陣に向かい頭を下げた。
「本日、ヒカリの写真集二作目が発売します」
ヒカリの言葉に、司会者が手にしていた写真集をカメラの前に出した。
表紙には、海岸線に沈むオレンジ色の夕日に、砂浜を歩いているヒカリがそっとほほ笑み振り向いている。
『次へのヒカリ』
と書かれている。
「中を少し見せて頂いていいですか?」
司会者が写真集を捲ろうとする。
「全部はダメですよ。買ってもらえなくなりますから…」
愛輝が、微笑みながら言った言葉に皆が笑った。
記者も、周りで見ているファンも、愛輝がどんな人間なのか期待に興味深い視線を送っている。
愛輝の飾らない言葉や、時々見せる笑顔にかなりの反響だろう。
しばらくの間、司会者とヒカリのやりとりが続いた。
「今回の写真集は、ヒカリの想いが詰まっている作品になりました。ご協力して頂いたスタッフの皆様にも感謝しています」
そういい終わると、ヒカリは一息つき、記者の前にすっと立った。
ざわついた会場の空気が一瞬張りつめたのが分かる。
ヒカリの真っ直ぐに向けられた瞳と、凛々しく立つ姿は綺麗だ。
ヒカリの口から出る言葉を待ち構えるように、会場中の視線が集まる。
「この場をお借りして、皆様にご報告があります。わたくし、ヒカリは今頂いているお仕事を最後に、引退する事を決めさせて頂きました。今まで応援し、支えて下さった皆様に心から感謝しています。
私の我儘でご迷惑おかけする事に深くお詫びいたします」