嘘は輝(ひかり)への道しるべ
「あの、まさかの事に僕も驚いている始末なのですが……」
司会者もあたふたとマイクを手にした。
「事務所の許可も頂いています。皆様に直接ご報告したいと思い、この場をお借りしました」
愛輝の、はっきりとした声が静まり返った会場に響く。
その声に、皆がやっと事態を把握したようにざわつきだした。
「突然の引退ですが、理由をお話し頂けますか?」
フラッシュが光る中、記者からも質問があがる。
「ヒカリの出来る事はこれが精いっぱいです。ヒカリには芸能界という世界で生きていくための才能がありません。この世界の方の素晴らしい演技や歌、笑いや話術を皆様に伝えるため一生懸命の姿に、ヒカリの力の無さを感じました。
私は皆様の力でここまで来られただけなのです。今、この場を去るのが、ヒカリとして一番ふさわしいと考えました」
「ヒカリさん、最後に本名を打ち明けて頂くわけには?」
記者から声があがる。
「申し訳ありません。ヒカリはヒカリでしかないので… ヒカリはこの仕事をさせて頂く事が出来て、最高に幸せでした。自分勝手な決断をお許し下さい。本当にありがとうございました」
ヒカリの笑顔から涙が溢れた。
カメラマンでさえシャッタ―を切るのを忘れてしまう程、誰もが見入ってしまう美しい姿だった。
記者達も沢山の質問を抱えているのに、ヒカリの姿にがあまりにも綺麗で、黙ってヒカリを見つめていた。