最初で最後の恋だから。ーセンセイー
「ゆずちゃん、楽しい??」

「うん、とっても。」

「良かった~。」

「ゆずちゃんもお願いごと書かない??

紗智がはい、と紙とペンを差しだしてきた。

「クリスマスに願い事?」

「そうだよ~。」

クリスマスは靴下をつるしてプレゼントを待つはずだ。

クリスマスを祝わったことのない私でもそれくらいは知っている。

でもせっかく紗智が勧めてくれたのだからとペンを執った。

「紗智のお願い事は?」

「聖とずっと一緒に居られますようにって。」

「ゆずちゃんは??」

「夢が叶いますようにって。」

願い事を書いてクリスマスツリーに飾ろうと背伸びすると古賀君が傍に来た。

「つけてやるよ。」

「前にもこんな事あったね。
・・・図書館で。」

「ああ、本の整理してた時だろ?
あの時は断られたけど。」

「あの時はまだ人を信じるのが怖かったから。」

「柚依を変えたのは伊藤なんだな。」

「うん。」

「哲君、ゆずちゃん、ケーキ食べよ~。」

紗智がケーキナイフ片手に声を掛けてきたので私たちはテーブルに戻った。

「紗智、生クリームついてるよ。」

「どこどこ??」

頬っぺた。」

「取れた??」

「まだ。こっち向いて?」

目の前の恋人たちの糖度が上がっていく。

「いつもながら見てる方が恥ずかしいな。」

「そう?」

「向こうにいくか?」

ソファを指さした古賀君に頷いた。
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