HAZY MOON
相愛
一年後。


「お父さん、お母さん」



高校の卒業式を終えた足で向かったのは、父と母が眠るお墓だった。



「ほら。……お父さんとお母さんが……結婚したのと同い年になったよ」



こう言って、わたしは卒業証書をギュッと握り締めた。

命が短いとわかった父と、母が永遠の愛を誓った時……。



「だから……」

「お嬢さんをください」


「あっ……」



背中がふわりと温かくなり、そのままぎゅっと抱き寄せられる。



「雅晴……文句ならそっちで聞く。殴らせろっていうなら殴らせてやる」



「…………」



「それまでは、俺が雫希を……おまえらの分まで幸せにする」


二人の愛を受け継いだわたしという存在。
そのわたしに、出来ること。


「梶先生……」



上目に見上げ、柔らかく触れた梶先生の指先に、指を絡めた。


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