ENGAGE RING 〜狂気的なホテルオーナーと激甘な御曹司に愛されて〜
「わかった、俺はもう仕事に出かけるから……
戸締りはよろしくね」


 『愛しくて仕方ない』と訴えかけてくるような、満面の笑みを見る度に、私はこの人を決して裏切れない、と再認識させられる。


「行ってらっしゃい、慧さん」


 世に言うスーパーダーリンそのものの彼を、誰もが欲し、私は何度も嫉妬をされ続け、虐めを受けて来た。

ーーけれどその常必ず、私を虐げた全員が全員、後に平謝りをしてくる。


 私は彼をこれ以上気重にさせないよう、何の相談もしていないのにも関わらず、裏で色々と暗躍してくれているらしい。


 何をそこまで、私に執着するのかよくわからない。


 三淵 理恵という女は、整った顔立ちをしていないといえば嘘になるが、冗談も言えないし、普段からさほど感情を表に出さないため、何の面白味もない女だ。


 私ならこんな女、直ぐに飽きてポイ。

正直、彼に私は勿体無さ過ぎるーー

ーーそしてこの招待状を送り付けてきたあの子も。


『三淵様へ、どうぞ4月8日に開かれる高宮家主催の船上パーティーにお越し下さいませーー暁人さまもあなたの御来場を楽しみにしていらっしゃいます』


 高宮家といえば、各界のトップに君臨する元華族やなんやらの名家で、恐らくある一定の年齢を達したら必ず知る名前となるだろう。


 ーーなんせあの一家からは総理大臣として、教科書に名を馳せている者もいるのだから。


 その上、高宮家は長谷川家と仲が良い。

彼の面子を立てるためにも、このお誘いには逆らえまい。
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