お姉ちゃん、ごめんね…
ある日映画館で彼とデートをしていた。


その後服を見たり、雑貨を見たり。
二人で使うお皿も買い足したり。


途中の着物屋さんの前を通ると振袖が目に入った。可愛いっと素直に思った。もおすぐ私も着るんだと二十歳の実感をする。


お店の中で着物を試着している女の子がいた。


どっちにしようか迷っている様子。


「ゆうなはどんなの着るんだ?」


「んー確か、白地にピンクとか紫のお花がいっぱい描いてあったような…」



私が選んだ振袖ではない。


お姉ちゃんが、お母さんとおばあちゃんと一緒に選んだもの。


ゆうなは振袖どうする?ってお母さんから電話があった。
まりなのが家にあるけど…ゆうなも買いに行く?借りに行く?



そんな電話だった。


よく覚えていないお姉ちゃんの振袖。
でも、確かにあの時素敵だなって印象はなんとなく覚えている。


それに、お母さんは今忙しいから、私に使う時間は勿体無い。


おばあちゃんが骨折をして、今入院しているから。


だから私はお母さんに…
「お姉ちゃんのを着るから用意しておいて♪」と明るく答えた。




だから、私は自分で選んでいない。


お姉ちゃんが選んだのを、成人式で…





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