午前0時のシンデレラ

「……綺麗な方でしたね…」

彼女が、赤いドレスの背中を目で追いながら言う。

「うん…? ああ…でも、もう今はなんとも思っていないがな…」

「……そうなんですか?」

と、彼女が顔を見上げる。

「ああ、それに今日は、君の方が綺麗だ…」

言った途端に、顔が火照るのを感じた。

(こんなセリフ……前は普通に言えたのになんでだ……)

照れ隠しに締めているネクタイを直すと、

「……私なんて、そんなことないですから……」

と、微かに頬を赤らめている彼女がいて、こっちまでよけいに照れてきそうにもなる。



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