七月八日のながれぼし
「だからね。ミツルを殺すのは、君じゃなくて、僕だ」
「ミツ……」
そんな僕を受け入れて欲しい。
そう言われてしまったあたしは、なんと応えたらいいの?
「僕の星の向こうの想い人。誰だったのか、覚えていないけど君だと思う。君だったらいいと思う」
彼の星の向こうにいるのは誰か、正解は誰にもわからない。
あたしとミツルの間には約束があったけど、〝好き〟という言葉を向けられたわけではないから。
「だけどたとえ違っても、星の向こうじゃなくて、僕は今、目の前の君が────夏姫が好きだよ」
まるであたしが星になったみたい。
宙に浮かんだまま彷徨っていた心が、流れたがって揺れている。
視界はぼやけて歪む中、涙が落ちてしまわないようにまばたきをぐっとこらえた。
「たとえ1年に1度きりしか会えなくても、ここで君を待つことしかできなかったけど、いつか大人になったら僕の番だよ。君のところに会いに行く」
「っ……」
大人になったら。
それは昔、ミツルがまだ記憶をなくす前に交わした約束と同じだった。
それだけじゃなくて、ほんの小さなことが昔のミツルを連想させた。
ナツキと呼んだ彼の表情、言葉の選び方。
性格が変わっても変わらないところがあるんだ。
「ミツは、ミツルなんだね」
わかっていたはずのことをようやく理解した。