それでは始めましょう
「なんか言えよ…」

驚きと、何とも言えない胸の苦しさで言葉の出ない私に、照れて拗ねた声が落ちてきた。

「ガンちゃん…」

「ん?」

「ガンちゃん?」

「なんだよ?」

「ガンちゃん」

「だから何?」

名前しか呼ばない私に苦笑いしながら頭突きをしてきて、そのままおでこ同士が触れあっていた。

「ガンちゃんが、ずっといてくれたんだ」

さっきより距離が近くなったのに、恥ずかしいという気持ちがない。

「ガンちゃん、いっつもいてくれた。話聞いてくれた。バカに付き合ってくれた。笑っててくれた」

『ありがとう』とすぐ目の前すぎて焦点が合わないくらいのガンちゃんを見つめる。

「私の、ものすごーく嬉しい事。毎日あったよ。…ガンちゃんがいてくれること。それが、…ずっと続いてて欲しいっ」

言い終わる前に唇が触れた。柔らかく、少し冷たい唇。でも初めてとは思えないほど馴染んでる気がした。
触れただけのキスで、さっき感じていた胸の苦しさは消え、それ以上に愛しさがこみ上げる。
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