それでは始めましょう
自分の思いを伝えるって難しい。
昔から国語の成績は、読解力はあったけど、作文や表現力は苦手だった。
あぁ、そうだ。数少ない恋人とも、自分の気持ちが上手く伝えられなかったなぁ。
ヤバい、思い出したら泣きそうだ。

「ハァー、ヤッパリ、ニホンゴ、ムズカシイデスネェ」

わざとカタコトの発音で笑ってみせた。

「ばーか」

デコピンがとんできた。

「痛いよ、ガンちゃん!痛いよ!」

「当たり前だ、痛いようにやったんだから」

目の前にいるガンちゃんの顔はとても不機嫌。かと思いきやすっごく優しい顔。

「そうやって素直に痛いって言えばいい。寂しいって言えばいい。難しく考えることはないんだよ」

そう言って大きな手で私の頭をなでた。そしてその手が私の頬まで降りてきて親指でなぞりながら、私をのぞきこむ。

「つっきー、質問です」

「はっ、はい、ガンちゃん、なっ何でしょう」

同期として入社以来、初めての近い距離にどもってしまう。



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