晴れのち曇り ときどき溺愛

　四葉さんの言葉に顔が強張りそうになるのを感じながらも口角を引き上げる。それは私だけでなく進藤さんも絵里菜さんも同じことだろう。クローバーインターナショナルという会社は名前は聞いたことがあるけど、どのような会社なのか分からない。進藤さんの会社とも下坂さんとの会社との繋がりも分からない。

　言葉の端々から感じるのは四葉さんの圧倒的な優位な状況だった。だから、進藤さんも絵里菜さんも社交辞令で済ませようとしているのだろう。個人だけの関わりでは割り切れない背景があるのだと思った。


「俺の部下を口説くな」

　
　いつの間にかその場には下坂さんが戻ってきていて、四葉さんの横の二人は下坂さんの顔を見て、表情を落とす。そして、四葉さんは下坂さんの顔を見て、一歩後ろに引き下がった。


「春臣。ひ…ひさしぶりだな」


「久しぶりだな。四葉。相変わらず成長がないというか。絵里菜と付き合いたいなら自分の力で勝負しろ。いくらお前が望んでも精神的に自立した男でないと絵里菜は認めない。それに絵里菜に認められたいなら隆二を超えることだな。もしかしたら努力は買ってくれるかもしれないぞ」


「前々から、両親を通じで絵里菜さんをとお願いしているんだ。春臣には関係ないだろ」

「関係ある。俺の部下だ」

「これはプライベートな問題に上司が口を出すのが可笑しい」

「俺の大事な女だって言えばいいのか？」