晴れのち曇り ときどき溺愛
 火曜日の朝は昨日のことが気になっていつもよりも早く会社に行くことにした。家に帰ってゆっくりとプロジェクトのことを考えると少しだけ糸口が見えたので早くその部分を確認したかった。

 今日は仕事が終わってから琉生に会うことになっている。拳の結婚式の二次会のことならまだ少し先の話だし、琉生に限って仕事を辞めたいというようなことはないだろう。全く思いつきもしなかった。

 営業室に入って驚いたのは既に電気が点いていることだった。入って見回しても昨日の夜と何も変わらないように見えるのに電気だけが点いている。


 昨日帰る時に消灯したはずなのにと思いながら荷物を置いて応接室に言ってみたけど誰も居ない。でも、下坂さんの机の後ろに衝立があり、その向こうには給湯室と軽く食事などが出来るスペースがある。

 そこに下坂さんは置かれてあるソファに長い脚を投げ出してぐっすりと寝ていた。スーツの上着を脱ぎ、緩められたネクタイがちょっと横になったら寝てしまったというのが分かった。テーブルの上には資料が置かれてあるし、床には使っていたと思われるペンも落ちている。


 私が帰った後に営業室に戻って来て仕事をしたのは明白だった。

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