晴れのち曇り ときどき溺愛
「席が二つならなら私は別の店に行くので、室長と諸住さんの二人でどうぞ」

「悪いな」

「いえ、ここは予約が出来ないというのは知ってますので大丈夫です。では、室長、諸住さん。また後で」


 そういうと、下坂さんと私を残してさっさと見城さんは店を出て行ってしまった。昼休みの時間は決まっているので、ゆっくりと食事をしたいと思ったら、早々に次の店を探さないといけないのは分かるけど急に二人っきりにされるとは思わなかった。


 二人しか座れないなら私が遠慮したかった。


「ではこちらにどうぞ、席が離れますがいいですか?」

「あ。俺が動くよ。並んだ方がいいだろ」


 そう言ったのは空いている席の間に座っていた人だった。自分の定食の入ったトレーを横に動かすと二つの並んだ席を用意してくれたのだった。離れて座った方が気持ち的には楽なのに、親切な方の計らいで私と下坂さんは並んで座ることになった。


「ありがとうございます」


 そう言って下坂さんが座ったので、私も頭を軽く下げてから横に座った。私の左に下坂さんが座っている。店内は狭いながらも、カウンター席の間隔は楽に座れるようになっている。


 でも、私は息苦しかった。
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