晴れのち曇り ときどき溺愛
 見城さんは昨日も厳しい表情を見せていた。厳しそうな人だとは思ったけど、今日は一段と眉間の皺が深い。肩凝りがするのか自分の肩を持ってたファイルの背で叩いていた。

「おはよう。諸住さん。来て早々悪いけど仕事頼んでいい?」


 合併二日目の朝は眉間の皺とファイルによって仕事が始まりそうだった。

 見城さんが出てきたドアからは斉藤さん。井上さん。そして、室長の下坂さんが出てきて手には書類が握られている。営業会議だったのだろう。営業補佐の私には必要ないことだけど、なんとなく心の奥がモヤモヤした。


「何をしたらいいですか?」

「ファイルの中身をパソコンに打ち込んで表にして、それから、挟んでいるメモに書いてある資料を探してきてコピーして貰いたい。新しいものはパソコンのデータになっているからプリントアウト、古いものはまだ紙ベースだから一部ずつコピーして欲しい」


 私は机の上にバッグを置くと重そうなファイルを受け取った。パラパラと貰ったファイルの中身を見ると、思ったよりも大量の書類が出てきて集める書類も多く時間が掛かりそうだった。


「三日くらいで出来る?」
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