晴れのち曇り ときどき溺愛
 今回の合併からまだ二日目。合併により二社で持ち込んだ資料は倍となり、今まで使っていた資料室では賄いきれず分散されている。今までの資料室にある分と、いくつかの部屋に詰め込まれた資料を探すのは大変だと思った。三日という期限で出来るかと心配になる。

「頑張ります」

「じゃ、よろしく」


 貰った資料を見ながら自分の席に荷物を片付けると、井上さんがニッコリと笑った。朝から穏やかで優しい微笑みは見城さんと話して緊張してしまった私を少し和らげた。


「おはよう。今日から三日は見城の仕事を中心にして貰っていいかな?分量が多いから大変だと思うけど、急ぐ仕事だから頼むね。その後にシステム課の仕事を徐々に教えるから」

「おはようございます。井上さん。色々とありがとうございます」

「おはよう。梨佳ちゃん」

「おはようございます。斉藤さん」

 会議室から出てきた下坂さんは自分の席に座るなり、急ぎの仕事があったのかパソコンに必死に打ち込みをしている。その邪魔をしてはいけないと思いつつもやっぱり朝の挨拶をしないといけないと思って机の前に立つと下坂さんは指を止めた。
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