魅惑への助走
 「サッカーの日本代表戦だ。こんな夜遅くにやってるの?」


 すでに時刻は22時半。


 「ワールドカップ予選だから、海外でやってるみたいだね。時差の関係だよ」


 青いユニフォームを来た日本代表が、中央アジアのどこかの国と、次回のワールドカップ出場権を賭けて予選を戦っている様子。


 ちょうどその時、ハーフタイムを告げる笛が鳴り響いた。


 前半は0-0、スコアレスドローで終えている。


 「急いでシャワー浴びておいでよ。後半は一緒に観よう」


 上杉くんはそこそこサッカーにも関心があるらしくて、そう提案された。


 「うん……」


 甘い時間への突入は、予想したより遅くなりそうだけど。


 ビールを飲みながらのリビングでのサッカー観戦もたまにはいいかもと思いなおし、バスルームへと向かった。
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