魅惑への助走
 「大変よくできました」


 にっこり微笑みながら起き上がり、肩までかぶっていたシーツをするっと落とす。


 「ご褒美」


 次に上杉くんの腰に巻かれたバスタオルを剥ぎ取る。


 「た、武田さん。じゃなくて明美」


 私の行動を予期していなかったようで、上杉くんは慌てふためく。


 その姿はまるで、怯える子猫のよう。


 可愛い子猫ちゃんを、私の思うがままに……。


 「そんな過激なこと……、しなくていいから」


 恥ずかしいのか、私を引き離そうと、頭を手で押す。


 「過激って……」


 口を離した私は、思わず苦笑してしまう。


 「怖がらないで。噛んだりしないから」


 くすくす笑いながら、再び唇で触れる。


 「いや、ほんといいから。だめだって……」


 逃れようとしても、私の舌からは逃れられないまま。


 またしても上杉くんは、私にされるがままになっていた。
< 205 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop