魅惑への助走
 りらさんの肌は、きめ細やかなシルクのようで。


 長い黒髪は艶々して輝いている。


 大手メーカーの単体女優として活躍していても、何ら不思議はないのに。


 自由と活躍の幅を求めて企画単体女優、通称キカタンとして様々な作品に出演している。


 それゆえSWEET LOVEとの出演交渉も、比較的スムーズに進んで。


 今こうして私の目の前で、りらさんは片桐と官能的な濡れ場を演じている。


 思わず息を飲む。


 カメラが撮影を始めるまでは、散々片桐を叱咤激励どころか罵倒三昧だったのに。


 カメラが動き出すとこうして、本当に愛し合っている恋人たちのよう。


 申し分のない、私の思い描いた通りの演技をしてくれている。


 コミカルな場面の後は、情熱的に体を重ねる場面。


 撮影現場はもうすっかり、作品世界に支配されてしまっている……。
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