魅惑への助走
 「明美ちゃんも同じだと思うけど、毎日が慌しくて、仕事をこなすのでいっぱいいっぱいで。小説書いてる余裕もなくなっちゃうんだよね」


 私も気がつけば、投稿どころか小説を書くことすらしなくなっていた。


 「ま、小説は老後の楽しみにだってできるから。今は今しかできないことを頑張ろうって思うんだ」


 そろそろランチタイムも終了。


 私も飲み終えているのを確認して、榊原さんは立ち上がった。


 「いつかカリスマ男優がうちの専属になって。その男優のおかげでSWEET LOVEは莫大な収入を得るようになったなら予算も増えて、もっと本格的な作品制作も夢じゃなくなるんだけどね」


 「ですねー。早くカリスマ男優が、我が社のドアを叩いてくれませんかね」


 会計を済ませ、店の外に出た。


 暦の上では立秋を迎えているはずなのに、連日残暑の日々が続いている。


 炎天下、ビル街を行き交う人々の群れ。


 この人ごみの中のどこかに、運命の男優さんも存在しているのかな?
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