魅惑への助走
 「さっき撮影していたDVDって、いつ頃発売になるんですか」


 憂鬱な空気を振り切るかのように、武石さんに尋ねた。


 「AV関連は通常、撮影から2~3ヶ月後にリリースだよ。もしかして見てみたい?」


 「はい。愛のある……を学びたいです」


 さっきビールを一気に飲み干したので。


 少し頭がぼーっとしてきたかも。


 「だから。AV女優になれば、体で十分に味わえるよ」


 武石さんが私をじっと見つめる。


 「さっきもちらっと話したけど、明美ちゃんなら絶対、売れっ子になるよ。隙のない美しさを思い切り乱してみたい、って魅力があるし」


 「お世辞が上手いですね」


 「お世辞じゃないよ。本気で俺が相手役になってみたいって思うくらい」


 本当だろうか。


 ここで私が頷けば、AV女優への道が開けるのだろうか。


 ホームページで謳われていた高収入。


 自身のステップアップ。


 そして……。
< 54 / 679 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop